こんにちは。市役所職員をやめて起業したハチクマといいます。
このページでは私が市役所職員をやめて起業した経験を書いていきます。
今回は、「起業と家族の関係 親編」についてです。
市役所職員の起業にかかわらず、サラリーマンが起業するときに大きなハードルになるのが家族の理解・了承です。
配偶者編に続き、今回は親の理解について書いていきます。
そもそも、いい歳の大人が自分の仕事をやめて起業するときに、親の理解など必要なのか?と思われる方も多いかと思います。
親子関係は様々ですので、完全に独立されていて親の理解は関係ないという方もいると思います。
それはごもっともなことで、そのような方には全く参考にならない記事になりますので読み飛ばしていただければと思います。
さて、この親編を書くことは、私自身が親の存在に少なからず縛られていることをオープンにしなければならないので、少し恥ずかしいというか、格好悪いなぁという心持ちになります。
しかし、市役所に勤める人は他の業種と比べ、親のいる町でずっと育ってきたり、都市部から生まれ育った地方へ戻ってきて市役所に勤めている人も多いと思います。
また本人の希望だけでなく、親が公務員を勧めたり、親元に戻ってきて近くで公務員になることを熱望したり、親が公務員である場合も多いと思います。
そのため、起業や転職するといった場合に配偶者よりも親が大反対するといったケースも多分にあると思います。
ですので、ここは恥ずかしい気持ちをぐっと抑えて、私の場合の話を書きたいと思います。
ざっくり要約
- 子供が市役所職員になる安心とそれを壊すこと
- かつて転職に大反対されたことがあった
- 配偶者の理解・了承を先にし、協力者となってもらう
- 親へは事後通達だった
- はじめて親に心配をかけてはいけないなと感じる
- 結局最終的には応援してくれている
子供が市役所職員になる安心とそれを壊すこと
私は学生時代に地元を離れていましたが、就職の際に生まれ育った地方都市にもどり、市役所に就職しました。
就職に際しては、親は地元に戻ってきてほしいと希望していました。
当初、私は市役所の試験を受けることを渋っていたのですが、「試験を受けるだけでも受けたらいいじゃないか」と強く勧められました。
私自身就職の際には、いろいろと思うところもありましたが、趣味に生きるのもいいかなという思いもあり市役所に就職しました。
そんなこんなで市役所に就職したのですが、私が地元に帰ってきて安定した市役所職員になることは、親にとってとても嬉しいことだったと思います。
子供の就職は親にとって一番の心配事です。
子供が定職に就かず、将来生きていくこともままならない状態では、心配で夜も寝られなくなってしまう人もいるはずです。
子供が市役所職員になることほど、安心できる状況はないと思う親も多いと思います。
市役所職員をやめて起業することは、そんな親の安心を「ぶち壊す」ことになります。
子供が市役所に勤めてくれて喜んでいた親にとって、子供が市役所をやめて起業することは、心の安心、将来の安定を根こそぎぶち壊し、天国から地獄へ突き落される気持ちだったと思います。
親からすれば起業するということは、市役所職員になることの真逆の世界です。
安定・安心・信用のある市役所職員に対して不安定・不安・胡散臭い(?)起業の世界です。
こんな嫌な話はないと思います。 それゆえ、基本的にはすんなりと応援するといったことにはなりません。
かつて転職に大反対されたことがあった
三十代の前半に一度転職を考えたことがありました。
関心のある仕事があり、少しだけ転職を考えたことがあります。
親にも気軽に転職の話をしたのですが、その際に驚くほどの反応で反対されました。
今となっては自分も歳を重ねるにつれて、親の心情も少しずつ理解できるようになってきたのですが、当時はなぜそこまで拒否反応をしますか理解しがたいところもありました。
今思えば、安心できる現状を壊されることへの拒否反応だったのだと思います。
というわけで、親に起業することを伝えれば、家族内は荒れること間違いなしでした。
しつこいですが「荒れてもいいじゃん、親がどう思おうと気にする必要ないじゃん」という方は、読んでもらっても無価値なので飛ばしてください。
起業することは楽しいことですが、精神的に疲労することもあります。大きな不安に飛び込むことでもあります。
そんな中で、家族の反対を受けながら起業をしていくことはかなりのマイナスだと思いました。
上手くいかないことが出てきたときに、「やっぱり家族の言った通り起業なんかやめておけばよかったのかもしれない」と弱気な自分に入り込まれそうになると思ったからです。
それで配偶者はもちろんのこと、できれば親にも一定の理解をしてもらいながらものごとを進める努力をしてみて、それでも理解を得られないなら家族がギクシャクするのも覚悟してやるしかないと思いました。
しかし転職話の時の親の大反対の経験がありましたので、親の理解を得る方法は慎重に考えて実行する必要があると思いました。
まずは配偶者を味方にする
家族全体の理解を得るためには、まずは味方が必要だと思いました。
そこで最初に妻に理解を得て、味方になってもらいました。(配偶者編はこちら)
味方になってもらうと言っても、家族内で分かれていがみ合うわけではありませんし、一緒に説得をしてもらうというものでもありません。
少なくとも、親と一緒に「そんなの反対!」と騒がずに、静かに背中を押してくれる味方になってくれればと思っていました。
実際、親に起業することを伝えた後、私の親から「○○(妻)さんも、起業なんて言ったら困るでしょ?」と言われたときに「私は大丈夫ですよ。もし困る状況になれば私が養います」と言って、私の起業を後押ししてくれました。
親へは事後通達
妻の理解をしっかり得た後で、親の理解を得る段階になりました。
どのように伝えるか迷っていましたが、「起業しようと思うが、どう思う?」という話の仕方はやめようと思いました。
かつての転職の際の反応を見ていたので、アドバイスを求めるとか了解を求めるようなニュアンスは厳禁だと思っていました。
また、猛反対にあうのは目に見えていたので、猛反対を受けることで決心が鈍らないようにしようと思いました。
そこで親へ伝えるのは、人事に退職を伝えて退路を断ってからにしようと思いました。
人事に退職意向を伝えた日の夜、私は親に市役所を退職することを伝えました。
退職後は起業して個人事業主として仕事をしていくことも同時に伝えました。
本当に恥ずかしいのですが、何も悪いことをしていないのに、子供のころにいけないことをしてしまって、それを打ち明けに行くような気分になったことを覚えています。
伝えるときは、親であっても真摯に伝えようと思ったことと、猛反対されてもしっかりと話を受け止めて喧嘩にならないように心がけました。
私がかなり真剣かつ思い詰めた表情で退職することを語ったので、思いのほか荒れることなく報告は済みました。
理解してもらうというより、ひとまず伝えたといった感じでした。
後から聞いたところ、私があまりに思い詰めていたようだったので、何か不祥事を起こしてまずい状況になったのではないと思っていたようです。
そんな勘違いもあり、拍子抜けするほどあっけなく報告は終わりました。
退職報告から数カ月は、前述の妻への発言のように時々遠回しに「起業なんてやめた方が良いのではないかと」いう話はありました。
しかし、退職自体は決まってしまっていたのでそれ以上の話はありませんでした。
はじめて親に心配をかけてはいけないなと感じる
地元に戻って市役所に勤めていたころは、親に心配をかけてるという意識はありませんでした。
実際、市役所に勤めて、結婚し、大病を患うこともなく生活をしていましたので、親が私のことを心配でたまらないと思うことはなかったと思います。
しかし私が起業することで親は安心な将来をぶち壊され、不安の中に放り込まれたと思います。
特に退職を伝えた日から創業当初までは特にそうだと思います。
そこで初めて私自身も「ああ、親に心配をかけている」と心から感じました。
市役所に勤めている間はあまり感じたことのない心持ちでした。
よく「正社員になって親を安心させてあげたい」とかいう言葉を聞きますが、まさにそんな気分で、早く事業を軌道に乗せて安心させてあげたいと思いました。
自分で親を不安にさせておいて、安心させてあげたいと思うのは一見矛盾してそうですが、私はそうは思っていません。
私は自分の人生で挑戦したいことに挑戦し、それを成功させることで親を安心させるのが一番だと思っています。
これは起業しなければ気づけなかったことかもしれません。
結局最終的には応援してくれている
家族との関係については、こんな感じで退職、起業はスタートしました。
家族内はギクシャクとまではいきませんが、しばらくはぎこちない感じになりました。
実際、私にははっきりと言いませんでしたが、妻には愚痴や考え直した方が良いのではないかとこぼしていたようです。
しかし創業から1年もたつと、言っても仕方がないためかそんなこともなくなり、家族の関係は通常に戻っていきました。
3~4年もすればそれが日常になりました。いまでは仕事の一部を手伝ってくれています。 改まって何かということはありませんが、私の事業を応援してくれているのを感じます。
最後に
市役所職員は親などの家族とのつながりが強い人が多いと思います。
私が今回のテーマを書こうと思ったのは、市役所職員を初めてとする地方公務員の中には、少なからず私と似た状況の人がいて、親の反対が起業を妨げるネックになっている人がいるのではないかと思ったからです。
親を大切にすることと親の希望に沿うことは同じではないと思います。また、一度きりの人生で様々なことに挑戦することはとても重要なことだと思います。
その挑戦の一つが起業であり、それをしない理由が親との関係性であるなら私のケースが参考になれば幸いです。
コメント