どこで働く?起業したときの事務所は自宅以外で

きれいな事務所 起業全般

こんにちは、元市役所職員で起業したハチクマといいます。元公務員の起業体験談を書いています。

今回は、働く場所、事務所問題についてです。

起業を意識している方の「事務所どうするの?」「自宅にした方がいい?借りた方がいい?」「どんな事務所がいい?」という疑問の参考になれば幸いです。

飲食店等の場合はあまり参考にならないかもしれません。

ハチクマ
ハチクマ

事務所っていう?会社っていう?とにかく働く場所のことだよね

ざっくり要約

ざっくり要約
  • 自宅?自宅外?オンとオフ?→自宅外にしました。
  • 出勤という黄金習慣のために事務所を借りて良かった
  • 事務所とオンとオフはあまり関係なかった
  • 最初の事務所はなるべく安く借り、そのあともなるべく安く借りた
  • おすすめは公的インキュベーション施設
  • コロナでわかった固定費の恐ろしさ、家賃は経営を直撃する
  • 信頼という名を借りた見栄
  • 事務所の大きさや豪華さで得られる信頼には疑問
  • その奥にある自分の見栄が事業へのマイナス要素

自宅?自宅外?オンとオフ?

起業準備の中で、課題のひとつとなるのが事務所の問題です。会社をどこに置くか問題です。

事務所問題で最初に出てくる分岐点が自宅を事務所とするか、自宅外に事務所を借りるかです。

まず、圧倒的に有力な選択肢として出てくるのが自宅です。なんといっても追加で必要となる家賃が0円です。

後に書きますが、家賃は固定費の親玉だと思います。どれだけ経営が苦しくても時間が過ぎるだけで消えていくお金です。

その親玉が0円になるのは非常に魅力的です。

特に売り上げが立ちにくい創業初期においては、お金は出ていくばかりです。

あっという間に貯めたお金・借りたお金は減っていきます。

その点から家賃0円は自宅開業の大きなメリットになります。

また、通勤時間0分もメリットです(そしてデメリットかもしれませんが)。

一方で自宅開業にためらう方も多いと思います。

特に役所勤めやサラリーマンだった人は通勤しなくなることに不安を感じる方も多いと思います。

私もその一人です。

自宅にいたら毎日休日のようになってしまい、ダラダラと過ごしてしまうのではないかということです。

この心配はかなり多くの人に当てはまり、実際に多くの人がダラけてしまう気がします。

その点はコロナ禍におけるリモートワークが実証してくれた気もします。

結局、私はこの心配が強かったので、自宅外に事務所を借りました。

毎日がお休みなんて状況に晒されたら、自分を制御できるかわかりません。人間弱いですから。

家族にとってもその方が安心感があると思います。

創業当初で稼ぎの少ない配偶者が常に家にいるのは、本人だけでなく配偶者の精神衛生上も良くないかもしれません。

また、毎日決まった時間に起きて、通勤するという習慣はサラリーマンが得ることのできる良い習慣だと思います。良し頑張るぞ!と意気込まなくても、自動的に仕事に入っていけるこの習慣は貴重なスキルです。

一方であっという間に消えてなくなってしまいそうなスキルですので、習慣を継続することで無くさないようにしたいと思いました。

また自宅開業では仕事のオンとオフの区別がつかなくなるのではないかという心配もあるかと思います。

この点については、私の場合心配ありませんでした。自営業となれば(特に創業当初は)、事務所をどこにしてもオンとオフなんてなくなります。

結局自宅へ仕事を持ち帰り、ずっと事業のことを考えるようになります。

そして、私にとってそれは嫌なことではなくて、とても楽しいことでした。

そう考えてみると自宅開業で良かったのかもしれませんが、やはり朝は少なからず億劫なので、出勤モードを保てる自宅外事務所がおすすめです。

ハチクマ
ハチクマ

自宅を事務所とするのもありだけど、

自制心が試される・・・。私は・・・無理かな・・・。

最初の事務所はなるべく安く借り、そのあとも安く借りた

自宅外に事務所を借りることを決めた私は、事務所探しを始めました。

まずはインターネットで市内の事務所っぽい物件を探しました。

ある程度相場を確認したところ、私の住む地域では小さな事務所でも10~15万円程度は必要でした。

売上が立っていない状態で年間120~180万円程度の家賃にはとても耐えられないと思い、通常の事務所物件は選択肢から外しました。

次に空き家やアパート・マンションの賃貸物件などを検討しようかと思っていたところ、近くの自治体の創業支援施設に空きがあることがわかりました。

申込条件にその自治体に住んでいるという居住条件がなかったので、早々に申し込みました。

審査等は少し面倒だったのですが、申請書類作成は、他の職業の方と比べると地方公務員にとってはハードルが低いかもしれません。

ある程度見慣れた、そして想定のできる書類ですからね。

元公務員だからこそ、公的な創業支援施設との相性はいいかもしれません。

その創業支援施設は1区画5畳程度の広さの事務所で、机一つがあるだけでしたが、

賃料が2~3万円程度で非常に賃料がお安い施設でした。

新しい施設ではありませんでしたが、創業支援のスタッフ事務所も併設しており、細々としたことを助けてくれました。

この安い賃料は、結果的に大正解でした。

ご多分に漏れずに漏れず、私の創業初期の事業利益は壮大に下振れし、利益が出るまでに予想以上に時間がかかりました。

その状況でも事業継続を可能にしたのは、低い固定費とりわけ低い事務所家賃でした。

ただ私の最初の事務所はお安いかわりに、毎年入居継続のための更新審査があり、最長でも4年までしか継続入居できませんでした。

そのため私は3年半で退去しました。

自治体の創業支援施設にもよりますが、長い施設だと入居継続10年まで可能な施設もあります。

3~4年目に事務所移転する必要があるのは結構大変でした。

どんなに小規模でも引っ越しって手間とお金がかかります。

入居当初は3~4年も経てば売上・利益も十分で余裕でしょって思っていましたが、実際にはそんな余裕はありませんでした。

創業支援施設やインキュベーション施設を検討の際には、入居期限が何年までかも確認しておき、できる限り期限の長い施設を選ぶのが良いかもしれません。

そんなこんなで創業支援施設の期限が迫り、新たに事務所を探す必要が出てきました。

創業時と同じように事務所物件も探しましたが、やはりどう考えても年間120~180万円の家賃を払っていく体力はありませんでした。

また曲がりなりにも事業を継続させてきた直感が、そこにお金をかけてはいけないとささやいてきました。

そこで次に目を付けたのが、市内の古びた商店街のビルでした。

ビル
いい感じのビルでした

3階建てが1棟借りできて、しかも格安の条件。約7~8万円程度でした。

今までの2~3万円の家賃からすると5万円ほど高くなるので、随分迷いました。

私の事業は実店舗は必要がなく、集客は必要ありません。

それゆえに寂れてしまった商店街で十分です。

しかも3階建てのビルで、5畳1室からしたら一気に会社が大きくなった気がします。

あのビルはハチクマの会社となれば、なにか成長した感じが著しく、元同僚たちも「やるなぁ~」「すごいなぁ~」って思ってくれるかもしれない・・・と。

うちに商談に来た方に対しても信用力が大きいかもしれない、小さな会社と見くびられることがない・・・と。

それでも今までの家賃からしたら年間で50~60万円は追加で必要になります。

また、商店街の中での付き合い、役務負担も発生します。

どうしようかと迷っていた時に、私が新しい事務所を探していると知った知人が築古の戸建空き家を貸しても良いと言ってくれました。

古民家事務所

築40~50年程度の小さな空き家で建物自体は古く、昭和の雰囲気満載なのですが、大家である知人が丁寧に修繕をしていたため、比較的きれいに保たれていました。

私のことを気にかけてくれており、家賃も4万円程度で良いと言ってくれました。

付近の同様の戸建ての半額の相場でした。

そこで改めて、商店街のビルとの比較検討をしてみました。

事務所の条件比較(当時)

商店街のビルのメリット

〇大きな事務所を持てる

〇すごいって思ってもらえる

〇大きい会社に見せかけられる

×今までより家賃が3倍近く高い

×事業以外の仕事が増えるかも

→高いけど見栄えがいい。見栄を張れる

古民家のメリット

〇家賃が安い

〇大家さんを知っていて安心できる

〇十分な広さがある

×民家感がある。

×事務所っぽくない

→必要十分で安いが、見栄は張れない

ハチクマ
ハチクマ

結局、必要最低限でよいのよね。

結局、私は古民家を新しい事務所としました。

冷静に比較すればそりゃそうでしょという結果ですが。

この選択は、最初の公的な創業支援施設に入居したのと同様に後々考えれば大正解でした。

新しい事務所に転居後、ほどなくして新型コロナの流行が起こりました。

私の事業も大きな影響を受け、売上が大きく下がりました。

それまで売上は拡大傾向にあったので、商店街のビルの賃料もなんとかなると思っていました。

しかし、もし商店街のビルを借りていた場合、がっくり下がった売上では、賃料を払っていくのが相当厳しかったかもしれません。

小さな事業では固定費を小さくすることは鉄則かもしれませんね。

信頼という名を借りた見栄

そもそも私の事業は小規模な事業で、大きな事務所は必要ありません。

それなのに、大きい事務所が欲しいと思ってしまいました。その理由は見栄だった気がします。

スモールビジネスにはスモールオフィスで十分なはずなのに、何かと理由をつけて自分を大きく見せたいという気持ちがあったように思います。

この手の話でよく聞くのは、大きな事務所の方が取引先の信用が得られるとか、従業員が誇りを持つとかいう話です。

でも今回の自分の思考回路をなぞってみると、先に見栄を張りたい、ドヤりたいという気持ちがあり、その後付けの理由として、その方が取引先から信頼を得られると正当化していたように思います。信頼の名を借りた見栄でした。

信頼はこれまでの仕事の実績で得るもので、事務所の大きさで示すものではないと自分を戒めました。

一方でこのようなタイミングで自分の中に見栄が生まれたことを気づけて良かったと思っています。

あのまま商店街のビルを借りていれば、コロナで追い込まれていたかもしれませんし、そこを乗り切っても同じ思考でいるかぎり早晩行き詰ることになるはずです。

以降、見栄を張ることを含めて、固定費を大きくしたいと思う気持ちを「固定費の誘惑」と名前を付けて気をつけるようにしています。

この「固定費の誘惑」は時々やってくるんですよね。仕事がちょっとうまくいくと特に。

こちらも整理して別の機会に改めて書きますね。

ちなみにいろいろな考え方があるので、豪華な事務所が大きな信頼を生むという話を否定しているわけではありませんので、そのような方は怒らないでくださいね。

事務所に限らず「立派な車に乗れば、あの人はそれだけ稼いでいる、だからあの人の事業は信頼できると思ってもらえる」という論が存在します。

高級車は信頼を生むのだろうか

一部の社長業の方々からよく示される話です。

これが正しいかどうかはわかりませんが、少なくとも私にはどうも合わないようです。

私の場合、立派な車には、自分の事業を信頼してもらうためではなく、乗りたいから乗れるようになりたいです(そこまで高い車に興味もなく、そんなお金もありませんが・・・)

以上が今回の事務所どうする問題の話になります。

ちなみに自宅以外に事務所を持つと、自分の城持った気分にもなりますよね。

5畳の部屋に入った時の高ぶりを書きながら少し思い出していました。

ハチクマ
ハチクマ

初心に戻ってがんばります。

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